荷物入りのダンボール箱を持ち上げたら底がパカッ…その後の光景は想像したくもありません。もしくは欲しかった商品を通信販売で購入し、ようやく届いたと思ったらダンボールの中で壊れている…こういった悲劇を招かないためにも、運搬中の安全性を高めてダンボールの強化を目指しましょう。ガムテープの貼り方やダンボールの組み立て方、そして詰め方や緩衝材にこだわるなど、様々な工夫を施すことでダンボールの強化が可能です。
1.ダンボールの強度は優れている
2.ガムテープはどのように貼るべき?
2-1.継ぎ目を塞ぐ「-(マイナス)」
2-2.中央一点を強化「+(プラス)」
2-3.中央をさらにガード「キ」
2-4.底面全体をカバー「米」
2-5.効果に疑問「H」
3.紙製だからできる!ダンボールを変形
3-1.大きい荷物はダンボールを合体!
3-2.ダンボールは長方形だけでなはい!
3-3.コンパクトサイズにギュッ!
4.荷物の詰め方にも一工夫
4-1.固定および個包装が重要
4-2.ラップでグルグル、はい安全!
4-3.液体は破損時のリスクを回避
5.緩衝材に何を使う?
5-1.ノーマルな新聞紙やエアキャップ
5-2.処理しやすいエアー入り緩衝材
5-3.受取主がニコッと喜ぶ緩衝材
まとめ
前提として、ダンボールの強度は非常に優れているということを説明しておかなければなりません。紙製で脆いように思われがちですが、厚紙と厚紙の間に波状の中芯が入っているため、圧力を分散して頑丈なのです。近年、災害時に導入されている「ダンボールベッド」をイメージして頂ければ、成人男性を支えられる強度があることをお分かり頂けると思います。
その上でガムテープや緩衝材を用いて、さらなる強度アップを目指していきます。元々強度に優れたダンボールですし、木箱や金属ケースなどに比べると軽量であるため、重さを気にせず板ダンボールを底面に重ねて敷くのもおすすめ。できれば、ダンボール箱のサイズに適した板ダンボールを入れると良いです。元々、二重構造になっているダンボールも販売されています。
軽量のものを運ぶのであれば、差し込み式のダンボールが便利です。ガムテープを用いることなく簡単に組み立てができますし、運搬後の解体も簡単です。ただし、これはあくまで小物など軽量の商品を運ぶ場合であって、荷物のサイズが小さくとも重量があれば底抜けする可能性が高まります。
そこで底面において短い方の折り目を先に畳み、さらに長いの方の折り目を畳んだあとガムテープで補強をします。この際、どのようにガムテープを貼るのが正しいのでしょうか。注目ポイントは「中心部分の強化」です。また、ダンボールを運搬後に解体しやすいようにすることも重要です。あまりにもベタベタと貼ったのでは、解体に手間取ってしまい受取主に迷惑がかかります。
※貼り方の名称は一般的なものではなく、今回のコラムでガムテープの貼り方を分かりやすくすることが目的ですので、ご了承ください。
最も簡単な貼り方は「-(マイナス)」貼りです。長い部分を折り畳んだ際に継ぎ目ができますので、ここを単純に塞ぐだけです。この場合は底面の強化を図るというよりも、底抜けしないよう簡易的に処置していることになります。ダンボール箱の中身が軽量であれば「-(マイナス)」貼りで十分に対応できますし、ガムテープを剥がす時も便利ですね。
続いて「+(プラス)」貼りは、中央でガムテープを交差させます。十字型に貼っていますので、中央でテープが交わることになります。これだけでも強度が高まると言えるでしょう。まずは継ぎ目を塞いで、さらに上からガムテープを貼る方法です。
今回お勧めしたいのは、「キ」の字型に貼る方法。まずは継ぎ目を塞ぎ、中心から対称位置に2枚のガムテープを貼ります。こうすれば底面の幅広い部分をカバーすることができますし、中の荷物が中央に固定されているのであれば、かなりの効果が期待できます。
少し貼り方が難しいですが、「+(プラス)」貼りをした後、さらに斜めに貼る方法が「米」貼りです。全体を覆っていますので強度アップは期待できるものの、ダンボールの個数が増えればガムテープをかなり大量に消費することになりますし、解体時は相当苦労します。個人で1個か2個ダンボールを組み立てるのであれば構いませんが、ショップが大量に箱を発送するとなればガムテープ費のコストがかさんでしまいます。
荷物が届いた時に裏面を見てみると、両サイドにガムテープを貼っている場合があります。たしかに長い折り目が開かないようにしたいという気持ちは分かりますが、端の部分は短い折り目と二重になっていますので、「H」型に貼るのはあまり効果がないでしょう。
木箱や金属ケース、さらにはプラスチックボックスは思い通りに形を変えることはできません。だからこそ、中に入れる荷物に適した箱を探さなければならないのです。その点、ダンボールは紙製ですから変形させることが可能。あと少し大きければとか、もうちょっと短ければといった希望を叶えてくれます。
荷物の大きさに適したサイズの箱を選ぶというのは基本中の基本。中の荷物が動きにくくなりますので、破損の危険性も低くなりますし、運搬中にカタカタと音をたてることもありません。また、緩衝材を入れる場合でも最小限の量で済むといったメリットがあります。
ダンボールは様々なサイズが用意されていますし、専門の会社にオーダーダンボールを注文をすれば、まさに最適なサイズの箱が完成します。コスト面等をふまえても、他の素材と比べ用意しやすいのがダンボールなのです。
縦幅・横幅が大きい荷物は、適したサイズのダンボール箱を用意するだけでも一苦労。一人で作業するとなれば、荷物を中に入れるのも大変ですよね。それならばダンボールを合体させてしまいましょう。例えば、扇風機をイメージしてください。スイッチが付いた基盤と羽の部分を分けて、ダンボールで梱包すれば良いのです。特に羽の部分は首が動いてしまいがちですので、ダンボールで覆いしっかりと固定しておきましょう。続いて下のダンボールに扇風機本体を入れ、最後にガムテープ等で止め合わせます。この方法であれば、鉢植えに入った観葉植物などにも対応できます。
ダンボール箱は普通に組み立てていくと、上から見れば長方形もしくは正方形の形をしています。ところが組み立てる段階で上面と底面の折り目を内側にしまい込むことで、ひし形の状態に固定することも可能です。同じような方法で、ダンボールに折り目をつけて五角形・六角形にもできます。掃除機や照明カバーなどの収納に活用してみてはいかがでしょうか。
荷物に対してダンボール箱が大きすぎるのなら、ギュッと縮めてコンパクトなサイズに変形させます。この時に注意しなければならないのは、できるだけダンボールを切断しないこと。ダンボールの中芯である波状の部分が外に出てしまうと、強度がダウンする可能性があります。大きめのカッターを用意したのであれば、刃先を出さずに先の硬い部分でダンボールに折り目を付けていくと、組み立てが便利になりますよ。
ここまでダンボールの強度にスポットライトを当ててきましたが、荷物が破損しないことが最も重要ですので、荷物の詰め方にも言及していきましょう。
引っ越しを経験したことがあればイメージしやすいと思いますが、壊れやすい荷物は固定および個包装することが求められます。ダンボール箱の中で荷物が動かないよう、周りに洋服など柔らかいものを詰めたり、皿やコップなどをエアキャップや新聞で包みます。一つ一つ包装していくことにより、万が一割れてしまった場合でも箱の中に散乱することはないですし、他の荷物を傷つける心配がありません。
この時大活躍するのが、キッチンに常備しているラップ。ダンボールの板に壊れやすい荷物を置き、その上からラップでグルグルと巻いてしまえば、中央に固定することができます。最近では通信販売で壊れやすいものを注文すると、そのようなパッキングで届くことが増えてきました。さらなる工夫としては、新聞紙等で包んだ皿を複数枚まとめてラップでグルグル巻きにすると、ダンボール箱の中で動きにくくなります。
ジャムの瓶や化粧品の瓶などがダンボール箱の中で割れてしまえば、液体が漏れ出してしまいます。ダンボールに浸透し、最悪のケースを想定すれば他の荷物へ影響を与えてしまうかもしれません。もちろん同梱している商品も汚れてしまいます。そこで新聞紙等で包んだ後にビニール袋へ入れておくと良いでしょう。運搬時は最大限リスクを回避することが大切なのです。
皆さんは緩衝材に何を用いていますか。受取主が緩衝材を処分する手間まで考えておけば、荷物が届いた時にきっと喜んでもらえるでしょう。箱を開封した時の印象も良くなります。
一般的には新聞紙やエアキャップを用いることが多いです。ただし、最近では新聞を購読しない人が増えていますし、一般家庭ではエアキャップを用意するのは難しいですね。また処理をするにも、グチャグチャになった新聞紙を広げたり、大量のエアキャップをビニールへ入れて捨てたりと大変です。
近年見かけるようになったのは、エアー入りの緩衝材。これはプチプチシートのエアキャップとは異なり、切れ目を入れれば薄いビニールに潰れる簡易的な緩衝材です。ハサミがなくても手で簡単につぶせますし、ゴミも最小限になります。もちろん一般家庭では入手しにくいですから、ショップ向けの緩衝材と言えるでしょう。
個人で中古品の売買を簡単に行える時代になりました。ショップとは異なり梱包の技術は素人ですから、なかなか綺麗にセットするのは難しいです。ですが購入してくれた人に喜んでもらおうと、様々な工夫を凝らす方が大勢います。例えば緩衝材として、ポテトチップスなどエアーが入ったお菓子の小袋を詰めてみたり、余ってしまった新品のタオル(創業記念などに頂いたもの)を入れたりといったものが、SNSにアップされているのを見かけます。受取主にニコッと喜んでもらえるよう、緩衝材を工夫してみましょう。